しなやかに、滑らかに、美しく、何度も染め直すことができる、強い「一越」のように。
「誇りと喜びを持って働いてほしい」。
わたしたちはそう願いながら、発達に遅れがある子どもたちと一緒に過ごす保育園から「糸車の会」をスタートさせました。
農作業と調理と和紙づくりの作業に取り組み始めるようになったのは1998年のこと。「一越会」と名付けました。
かつて、前橋市は絹糸生産の盛んな地で、一越会の建物も絹工場の跡地にあります。
絹織物の経糸は一本、二本と数えるのに対して、強度を加えた緯糸のことを一越、二越、と数え、生地がうすく滑らかでも、
最も強度と耐久性があり、何度も染め直しができる織りが「一越ちりめん」に代表される「一越」なのです。
わたしたちは、そんな一越を象徴するような存在でありたいと願い、
また、わたしたちがつくりあげる和紙も同じでありたいと「一越紙」と名付けました。
「ひとこし工房」では、一から技を磨き上げ、職人としての誇りと喜びを持って働いています。
一越紙をつくる「ひことし工房」では、障がいが重い人も軽い人も、作業を細分化して、みんなでつくれる和紙にしてきました。
日本で廃れゆく伝統工芸の技を身につけた職人たちが、ここで静かに育ち、職人としての誇りと喜びを持って働いているのです。